春まつり─「太巻きのり巻き作り」と「青い鯉のぼり」

5月の大型連休、東松島市大曲の矢本運動公園仮設住宅の武道館にて、春まつりが開催されました。4日は「太巻きのり巻き作り」、5日は大曲浜「青い鯉のぼり」が行われました。

3.11の震災から6年目になりますが、未だに復興住宅建設予定地は地均しの最中。一方で、仮設住宅から公営復興住宅に約5割の人が移転しています。

仮設住宅、復興住宅に住む人々が力を合わせて行われる春まつり。今回は、その様子をお伝え致します。

太巻きのり巻き作り
「太巻きのり巻き作り」が行われた4日は、あいにくの雨。
悪天候にもかかわらず、地域の方やボランティアなど多数の参加があり、盛会でした。
例年は屋外で全長36mの太巻きのり巻き作りを行いますが、今年は雨のため室内で、2ケ所に分かれて行われました。
36mの太巻きの材料として、のり200枚、お米100合、そして山盛りの桜でんぷ、かんぴょう、卵焼きが、それぞれテーブル毎に用意されました。

小野自冶会長さんの合図で大学生、高校生のボランティアたちが真剣な眼差しで、それぞれの役割を見事に果たします。

テーブルにラップを敷き、のりを隙間なく置きます。
photo2

photo2-1

 

 

 

 

 

時には参加者の方々から「少し曲がっているよ!」「のりの隙間があるよ!」などの声がかかります。

桜でんぷ、かんぴょう、卵焼きを置き、合図によって一斉に巻きます。
photo3
photo4

見事な太巻きのり巻き出来上がり!

photo5

 

 

 

 

 

太巻のり巻きを360個に切り、参加者全員で舌鼓。「美味しい~!」

photo6

 

 

 

 

 

青い鯉のぼり
大曲地区に住んでいた健人さん(当時高校2年生)は、家族4人を震災で亡くしました。
遺体安置所で、冷たく動かなくなった弟の律ちゃんに対面した健人さん。自宅には、泥まみれの青い鯉のぼりが残っていたそうです。
健人さんは、弟の「今年もお空に、律の鯉のぼり高くあげてね」という願いを引き継ぎました。

そんな健人さんの想いから「青い鯉のぼりプロジェクト」が発足し、全国から青い鯉のぼりが届くようになりました。
そして2011年から毎年、犠牲になったお子さんやご家族が天国で寂しい思いをしないようにと、大曲浜の大空に青い鯉のぼりが泳ぎます。

今年は約800匹の鯉が大空を泳ぎました。
天国にもきっと、皆さんの想いが届いていることでしょう!

大空を泳ぐ鯉のぼり。

photo7

 

 

 

 

 

鯉のぼりの下では竹馬遊び、竹とんぼ作りが行われています。

photo8

 

 

 

 

 

青い鯉のぼりたちが泳ぐのは、3月11日から5月5日まで。
この期間、プロジェクトの皆さんは、風雨にさらされ傷んだり、外れたりした鯉のぼりを何度も何度も修復して、5月5日の「青い鯉のぼり祭り」を迎えます。

健人さんは大学を卒業し、今年の4月から東松島市の職員として歩み始めたそうです。
これからも春がくるたび、青い鯉のぼりは大空を泳ぎ続けるでしょう。

仮設住宅で過ごす人々が、一日でも早く穏やかな日常生活に戻れるようにと、切に願います。
(小野寺綾子 記)

 

2016年7月2日