「東日本これからのケア」プロジェクトについて

 あの未曾有の大災害からはや5ヶ月、事情は一向に好転のきざしが見えません。
 大切な家族を失い、それまでの暮らしが一変した環境のもとで、未だに避難生活を続けていらっしゃる被災地のみなさま、そして、あの悪夢のような原発事故に関連して土地を離れ家を捨てて緊急避難せざるをえなくなった方々、幼い子どもとともに不安の日々を送っている方たちのお気持ちを想像するだけでも胸が痛みます。また、高齢の方々や障害を持った方たちへの質の高いケアを提供する方策とそのシステム創りが強く求められています。
 そこで、看護の目でこれから何が起きるかをアセスメントし、看護専門職の知恵と力を結集して、必要なケアを適時適切に提供する責務があると思います。とはいえ、このようなことを個人的に考えるだけでは限界があります。国や自治体の政策としてきちんと予算化を図って実現すべきなのですが、放射能汚染対策と被災地の産業面での復興策に追われる政府。自治体では、未だ行方不明の方たちの安否確認、仮設住宅の建設、入居の手続き等で大忙しです。恐らく、看護・介護の必要は認めても、中長期を視野に入れた具体策を求めることは難しいのではないでしょうか。
 そこで、マクロな視点と既成の考え方にとらわれない柔軟な発想が何よりも求められます。いよいよ看護の出番です。看護の真価を発揮するときが今です。
 そうはいうものの、ひとりよがりではいけません。「ケア」と言うキーワードで一致できる多くの方たちと手をつなぐことを抜きにはできません。特に、看護と介護の連携が要になります。
 本プロジェクト全体の構想は別にご覧頂くとして、さし当たっての活動の目標は、 
1.被災地に住む方々のニーズの探索
2.健康被災者の就労支援のためのやさしい介護教室開催
3.被災医療機関の看護師、潜在看護師への在宅看護研修
4.上記により被災地に住む高齢者、障害を持った方たちのQOLを高める
 そして、誰もが”この地に住み続けたい”コミュニティを創るためのお手伝いをしたいと願います。 多くの方たちのご賛同とご支援をお願いします。
 

「東日本これからのケア」プロジェクト代表
川嶋みどり
(2011.8.)

2011年8月8日