広島て・あーて塾を開催しました

10月6日、広島て・あーて塾を開催いたしました (共催:健和会臨床看護学研究所、後援:POTTプロジェクト) 。

今回のて・あーて塾は、POTTプロジェクト代表の迫田綾子さん (日本赤十字広島看護大学 名誉教授) から、「“て・あーて塾”をぜひ、広島の地で! 」との申し入れをいただき、開催する運びとなりました。
会場は日本赤十字広島看護大学をお借りしました。
開学20年のすばらしい看護大学の環境の中、1日の研修を行いました。

広島県内を中心に訪問看護ステーション、病院、看護教育機関などから72名 (半日のみ参加21名、1日参加51名) の方が参加して下さいました。
参加者は今までの最多人数でした。

開会あいさつ

迫田綾子さんからの「広島の地で “て・あーて塾”の開催の願いが叶って夢のようです。とても嬉しい。多くのことを学びましょう!」との挨拶からスタートしました。

て・あーての思想

最初のプログラムは、川嶋代表の『TE・ARTE(て・あーて)の思想 ─自然の回復過程の価値づけ』から始まりました。

「自然治癒力は生活行動力を高めること」であり、手を用いたケアの3つの要素「そばにいる」「聴く」「触れる」が大切であること。
「て・あーてとは、全人的ケアの心を専門的な“わざ”を通して具現化すること・・・手の力を発揮して自然の回復過程を整えることを実証することが大切・・・」と、て・あーての思想についてお話がありました。
参加者の皆さまは様々な側面から「看護」を見つめ直し、「て・あーて」について想いを巡らせたことと思います。

「動く」を支えるケアとしてのポジショニング

2番目のプログラムは、窪田 静氏 (愛媛県立医療技術大学准教授) による『「動く」を支えるケアとしてのポジショニング』の講義と演習でした。

講義では、研修で約30年前に訪れたデンマークからの学びがヒントになり、長年取り組んだポジショニングケアの実践と研究の結果が具体的に紹介されました。
一般的に良いとされてきた体位変換方法が適切なケアではないこと、ノーリフティングの大切さについてなど、データを用いながら解説されました。

福祉用具を用いた摩擦の軽減やリフトの活用が利用者の心身の機能に大きく影響することが、たくさんの実践事例の写真とともに紹介され、利用者の様子の変化にその効果を実感しました。

午後の演習では、講師の実技の後に3人1組となり、スピラドゥ (スライディングシート) を使用して「弾性ストッキングの着脱」「寝返り介助」「上方移動」「左右移動」「背上げ背下げ」などを行いました。
スライディングシートの使用は、これまで当たり前に行ってきたことを大きく変える新たな視点を体験できる機会となりました。

タッピングタッチ基礎講座

続いては、八木美智子氏 (当協会理事、タッピンクタッチ協会認定インストラクター) による「タッピングタッチ基礎講座A」。
タッピングタッチは、いつでも、どこでも、誰でもできる心と体が元気になるケアです。

子どもやハンディのある人でもできるため、心理、教育、看護、福祉、子育て、被災者ケアなど様々な分野での利用が広がっています。

デモンストレーション後、2人1組で交互に15分ずつ体験を行いました。
「心がけることは “ゆっくり、やさしく、ていねいに” ですよ! 」の声かけに、皆さん一生懸命取り組みました。
交互に体験する中で、笑顔も増え、会場も暖かい雰囲気になりました。

いつもケアする側ですが、ケアを受ける側も体験し「手のケアの有用性」がさらに実感できたようです。

「手の力はすごい」「さっそく家族や職場でタッピングタッチを活用していきたい」などの感想がありました。

最後に1日コース受講者51名に「て・あーて塾修了書」「タッピングタッチ基礎講座A 受講証明証」が授与されました。

広島の地で72の「て・あーて」の種を蒔きました。
「て・あーての実践 ! 」の芽が出ますように願っています。

 (担当 八木美智子)

2019年10月23日