東京て・あーて塾開催しました

12月9-10日、千住介護福祉専門学校にて“東京て・あーて塾”を開催いたしました(共催:健和会臨床看護学研究所)。
東京近県を中心に、遠くは愛媛県、滋賀県からも参加がありました。急性期病院、リハビリテーション病院、訪問看護ステーション、老人保健施設などに勤務する看護師と、ご家族を介護中の方1名の計21名の方が参加して下さいました。

て・あーての思想と実践

プログラムは、川嶋代表の『TE・ARTE(て・あーて)の思想 ─自然の回復過程の価値づけ』から始まりました。
て・あーてが持つ3つの要素「そばにいる」「聴く」「触れる」について、そして手を用いたケアこそが自然の回復過程を整えることが、ケアの歴史や経験知、大震災での教訓などを通して語られました。

続いて、て・あーてを推進されている重見美代子氏(美須賀病院)から、臨床での取り組みについてお話いただきました。
まず、気になる患者さんに、て・あーてを実践し、そして患者さんの変化と反応を目の当たりにしたスタッフも様々な形で行うようになりました。
成果が得られると、スタッフが活き活きして「忙しい」と口にしなくなったとのこと。

「忙しいからできない」ではなく、自分たちで創意工夫しながら実施して成果を実感し、看護のやりがいと自信につながったようです。

1日目の最後は、平松則子副代表(日本て・あーて推進協会)による、熱布バックケアの効果・方法についての講義と演習でした。
頸部から背部にかけて広範囲に熱いタオルを当て、湿性の気持ちよい刺激を伝えることがこの技術の目的です。熱い湯に浸したタオルを絞る場面では、普段は行っていないためか難渋している様子も見受けられました。

”気持ちいいケア”を考える

2日目は、縄秀志氏(聖路加国際大学大学院 教授)から、気持ちよいケアによる患者の変化についての研究成果を伺いました。患者さんの主観的な“気持ちいい”が、疾病からの回復過程に大きく影響を及ぼしていると実感させられる講義でした。
「“気持ちいい”を臨床家と研究者で共に追求し、一緒に看護学を発展させましょう」との呼びかけがありました。

午後は、1日目で学んだ熱布バックケアの技術を「獲得」できるよう、姿勢やマッサージの仕方など、各自が考え工夫しながら取り組みました。
2回目になると 手際よく行えるようになり、あちらこちらから「気持ちいい」との声が上がっていました。

交感神経‐副交感神経の揺らぎから、気持ちよさを研究している大宮裕子氏(西武文理大学 准教授)も参加され、熱布バックケア中の気持ちよさがどのようにデータに現れるかを専用の解析ソフトで確認することができました。
気持ちのよいケアによって身体に起こっている変化を、客観的にも実感できたのではないでしょうか。

演習終了後は、グループワークで体験交流を行いました。
最後は、講師を務められた川嶋代表、重見美代子氏、縄秀志氏、大宮裕子氏の4名と参加者で意見交換を行いました。
「患者全員に同じことをする必要はない、1人から始めることが大事」「経験知を増やすことが確信に変わる」など“気持ちいいケア”の重要性を確認しました。
気持ちよさを体感し、技を身につけ、そして、多忙な中でいかにこの実践を伝え広めていくかのヒントをもらった濃密な2日間になったのではないでしょうか。

今回修了生となった21名のうち7名が、日本て・あーて推進協会に入会されました。
東京で播かれた21の「て・あーて」の種。大きく育ちますように!

(担当:東郷美香子)

2018年1月12日